民家とは・・・

民家とは、その土地土地に伝承された技術と地域に産する材料をもとに、その地の気候風土にあわせて建てられた住まい です。自然の恩恵と脅威とをともに受け、職住が密接した生活に適合したつくりとなっています。
その建設は、地域の大工の手により、あるいは地域住民の共同体の手にもよりました。

風土に適合した姿と、木材や土などの自然素材による民家は、年月を経て改良・洗練を重ね、美しい住まいへ完成されていきました。
同時にまた、地域の諸条件によって住まいの形式と素材とが統一され、集落として群をなせば美しい景観をも生み出してもいました。

もちろんこれらは今日的な視点からの評価であり、大多数の庶民の住まいで営まれてきました日々の暮らしは、厳しい現実に直面したものであり、かつ、選択肢のないものであったことも否めません。

実際戦後の高度成長期以後、物質的な価値観に導かれた、より快適で今日的な住まいを求める流れの中で、家族構成・生活様式の急激な変化と都市化/過疎化の地域問題により、そして建築素材・建築技術もまた急激な変化を遂げたことにより、民家は急速にその姿を失っていきました。

しかしながら、成長一辺倒から見直しの時代へと変遷した今日、改めて住まいとしての民家 そして民家での暮し が新鮮さを持って再発見されています。

幸いにも今残されている民家を、人が住む活きた住まいとして大切に住み継ぎ、次代へと伝えていきたい。
そのためには現代の生活に適合するよう間取りや設備を更新していかなければなりません。安心して生活できるよう構造も更新しあるいは補強していかなければなりません。

わたしたちは過去へさかのぼる保全改修ではなく、未来へつながる再生改修を目指しています。
ノスタルジーとしての民家再生ではなく、生きること=住まうことの本質に立ち返る想いでの、住まいの再生を強く考えています。

民家再生.com は建築家の立場から民家の改修設計監理を通し、民家を住み継ぐ人々をお手伝いしています。

民家の外観

大らかな屋根・深い軒がつくる陰影・・・民家の外観はまずは屋根のシルエットでつくられています。
子供らが絵に描く「お家」は、現代でもそのまま屋根であることが多いように、屋根は住まいのシンボルであり、同時にまた、その下に覆われる家族の結びつきをも表しています。

高温多雨の日本では雨の処理が古来より大きな問題であり、雨水をすばやく逃がすためには単純な形の勾配屋根がふさわしい形でした。
深い軒は雨天時にも屋外空間をつくり出すとともに、窓を開けることを可能として通風をもたらします。
柔らかな印象をもたらす茅葺や、細かな反復の波が美しい瓦葺など、素材もまた性能と美観とを併せ持つものです。

屋根の下の外壁は地域地域で異なりますものの、多くは土塗り壁と、それを風雨から保護するための漆喰の上塗りや板張り、平瓦貼などで構成されています。
壁面に現れた柱や梁などの水平と垂直のラインが、思わぬモダンな構成となって眼を奪われることも多くあります。

屋根・外壁は長い年月厳しい気候に曝されて、民家の中でも傷みの激しい部分です。
民家再生.com は、民家の持つ趣きを継承しつつ、耐久性や防火性防風性を考慮し、柔軟な提案を心掛けています。

民家の間取り

地域地域によって異なる形式をもち、町家/農家でももちろん間取りの形式は異なります。けれども大きく述べて民家には以下のような間取りの特徴があります。

  • 壁で間仕切らず、建具で区切って部屋を構成する
  • 廊下を持たず、部屋と部屋が直接つながる
  • 土間を有する
これらは、生活や構造に大きくかかわるものです。
家族のなかでの個人のプライバシーの欠如は、家族構成とライフスタイルの変遷においてマイナスとみなされてきました。けれども住まいが個室の単なる集まりとなってしまった反省から、昨今では民家の大らかな間取りが見直され、新たに建てられる住まいでも積極的に民家的な “ひろがる間取り” “つながる間取り” が取り入れられています。プライバシーは、偏った個人主義に走ることなく、家族という集団の中での生活の作法として解決されていくことが望まれています。

土間もまた、現代の間取りで見直されるもののひとつです。かつては生産・家畜の場所であり、労働・家事の場としての土間でしたが、職と住が分離する過程でその機能を失い、台所の近代化とともに消滅していきました。その結果土間は、単なる靴を脱ぐ場所となっていきました。
けれども、内外の通い合う日本の住まいの伝統のなかで、“屋内の外部的空間” としての土間が、住まいの内部に豊かな空間性をもたらしています。

民家再生.com は民家の持つ内部空間の大らかさ・融通性を尊重しつつ、現代のライフスタイルにも適合する柔軟な間取りを提案します。

民家の構造

太い丸太の梁が組み合わされた豪壮な小屋組み それらを支える太い柱 これらはまさに民家の代表的な特徴で、民家のイメージを形作っています。どっしりとした安心感があり、住まいの安らぎにつながっています。
けれども一方、足元は単に石の上に載っかっただけでもあり、また、非常に重い屋根を支えなくてはなりません。

これら民家の構造/工法は現代に新しく建てられる木造の住宅とは大きく異なっています。簡単に列挙しますと

民家 現代の木造
基礎 地面に据えられた礎石の上に柱が直接載る(石場立て) 床下全面に鉄筋コンクリート製の基礎(ベタ基礎)
太い柱 しかし本数は少ない 10.5~12cm角の柱が数多く建って力を分散して受ける
耐震要素 貫・差し鴨居・桁梁など水平材を幾重にか架け渡す 筋違(斜材)・構造用合板張りにより、面を形成する
材の接合 仕口・継ぎ手により材と材を組み合わせ、栓を打つ 構造金物と釘・ビスによる


こうしてみますと基本的な考え方が大きく違っていることが伺えます。
現代の木造住宅が小さな材を合理的に組み合わせ、硬い骨組みを造り出していることに対し、民家は大きな材を組み合わせ、柔軟な骨組みを造り出してある程度の変形を許容しています。極端には建物全体が礎石上をずれ動いて地震エネルギーを吸収します。

これまで木構造の工学的な解析は立ち遅れ、大工の技量に委ねる時代が長く続いてきましたが、阪神淡路大震災以降、伝統的な木造や在来の木造の研究が進み、同時にまた法律上の安全基準も整えられてきました。

民家再生.com は、民家工法に詳しい構造の専門化とも協働し、安全安心な構造改修を提案します。

民家の明かり

民家に暮らす人の代表的な不満に 「暗い」 というものがあります。
しかしながら、日本の家屋は本来さほど明るいものではありませんでした。
本来開放的で柱間が全て開口部となっている農家型の民家では、先にも記したとおり深い軒と大きな屋根とを特徴としています。建物の奥行きが大きなものとなり、いきおい住まいの中央部には光が行き届きません。深い軒に加え、建物外周を巡る縁の部分がなおさら光を弱めます。
一方町家では、両側に隣家が迫るうなぎの寝床式の立地条件となり、敷地の長辺からは採光が望めません。通りに面しては防犯とプライバシーの確保のために窓には格子が設けられ、開口率がひどく低減しています。結局細長い敷地の途中に設けられた中庭からの採光に頼らざるを得ず、やはり充分な光がもたらされないようです。

このような状況のなかで日本独自の美意識が育まれたことは、谷崎潤一郎が「陰翳礼賛」に著すとおりです。
時代は変わり電化の生活が進む一方の現代住宅に対し、電気の通らぬ時代に建てられた民家は、その対比によって一層 「暗さ」 が際立つようになりました。「暗さ」 を負の要因と考える時代背景もそこにはありました。

けれどもまた、東北地方を襲いました震災以降、電化の生活を省みることとなり、「暗さ」が一概に負であるとも見なされなくなっています。「明るさ」を豊かにするものは実は「闇」であり「陰」なのです。

民家再生.com は、自然の採光と人工の照明との双方において、必要な場所に必要な量と質の明るさをもたらし、陰影ある豊かな民家の生活をご提案します。

民家の防寒

民家に暮らす人の不満の 「暗い」 が東の横綱ならば、西の横綱は 「寒い」 でしょうか?

兼好法師が書き記したとおり、日本の住まいは夏を旨として建てられてきました。通風を重視した開放的な住まいです。けれども日本には豊かな四季があり、厳しい冬の寒さがありました。
もちろん断熱も気密もない住まい、これではやはり冬を過ごすことは過酷です。土が断熱・保温に用いられたとはいえ、現代の断熱材とはその性能値の桁が異なります。

民家が永く住み継がれていくためには、日々の生活をストレスなく心地よく営むことができることが必要条件です。

民家再生.com は、住まいの機密性・断熱性を高めるとともに、気密窓の設置や断熱材の挿入・充填と民家としてのインテリアとの整合を図る提案を行っています。

民家の改修費用

民家の改修はとても高くつきます。少なくとも一般にはそう思われています。
壊して建替えた方が安くつく、とも言われたりしています。
しかし果たしてそうでしょうか?

民家の改修が高くつく理由は

  1. まず第一に民家そのものの規模が大きい・・・工事面積が大きい
  2. 既存の素材に合わせ自然素材を用いる・・・現在では自然素材は高い
  3. 現況に応じた細かな手仕事が要求される
  4. 解体も機械で一気に壊すのではなく、手で丁寧に解体する


1.2.は民家改修ならずとも、通常の新築でも当てはまることですし、3.4.は一般のリフォームでも該当します。
もちろん民家改修ならではの手間のかかる仕事により、工事費が高めとなる部分があることは否めません。実際改修工事を見ていますと、気の遠くなるような手仕事を職人さんは黙々とこなしています。
コンパクトな住まいを、新建材で現場作業も省力化を図って新築すれば確かに総工事費はそれなりにまとまるかもしれません。一方既存民家と同規模の住まいを、しっかりとした構造材と自然の素材で新築すれば、民家の改修を大きく上回る工事費ともなります。

残すことが目的の文化財の改修工事ではなく、一般の人々が日々暮らす住まいの改修としては、同規模同程度の建物の新築工事費を上回ることは不自然です。

民家再生.com は、ご予算計画に基づき、現実的な工事費のなかで現実的な改修提案を行っています。