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改修前の様子

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コンセプト

京都嵯峨野に建つ、昭和初期の和風住宅の改修です。
敷地内には現在お住まいの家屋が別にあり、この建物とこれに並んで建つ洋風のアトリエとは使われていない状態で、その保全活用のご相談を受けました。生活の場としてではなく焼菓子工房としての厨房を設けるという他には機能的なご要望もありません。

古い洋風のアトリエもまたレトロモダンな魅力に満ちた建物で焼菓子のイメージにも相応しく、このアトリエを再生活用する案についても様々に検討が加えられましたが規模などの都合で最終的には見送り、和風の離れに絞って再生を進めることとなりました。

大正から昭和にかけての佳き趣きを残すこの離れには、1階に四畳半の茶室があり、また2階には主たる座敷が備わっていずれもがこの建物には相応しく、積極的に継承していくこととしました。
その上で、玄関を含めた残る空間に当時探求されたモダンな新生活を映し出す新しい和の様式、といった面影を偲ばせることを試みました。

限られた内部空間のなかでそれぞれの部分をつないでいくこと、抜けをつくり透かしていくこと・・・それを格子や欄間や天井の高低などを用いて企てています。

ハイカラなモダンボーイであったであろうお祖父様がアトリエで制作された金属工芸が建物には数多く残されていました。それらの作品と再生された和の佇まいとこれから創作されていく焼菓子とが、溶け合って新たなひとつの空気を醸し出していきます。

このような空間と時間の刻みかたこそが 京都 ということなのであろうか、と思いいたるのです。

建築概要

敷地面積  - 
建築面積  - 
延床面積 92.17㎡
規模構造 木造 2階建て
設計期間 2013年07月~2014年12月
工事期間 2015年01月~2015年09月
設計監理 木村哲矢建築計画事務所
施  工 株式会社ニカク工務店
撮  影 中村写真工房 中村大輔