コンセプト
■改修前の状況
鳥取地方特有の赤い施釉瓦が載る堂々としたこの民家ですが、もともと建具で間仕切られていた間取りは壁で細かく区切られ、住まい方にも混乱を生じている様子でした。台所は狭められた土間片隅に設けられ、食堂との50cmの段差の上がり降りも大変な状態です。増築された便所・浴室棟へは、玄関から頭を低くかがめてくぐって行く必要がありました。
■改修の方針
・生活空間の整理と合理化
・民家の空間性の復活
・頭を打たない鴨居高さへ調整
・化学物質過敏症対応(無害な自然素材の使用)
・住宅設備の一新
・防寒対策
・腐朽材の交換と構造補強
■改修の具体的な詳細
改修に際しては、構造に配慮しつつ不要な間仕切りを取り払って拡がりのある平面の形に戻し、障子・襖などによって柔軟な仕切りとしています。台所は居間食堂と同じ床面に持ち上げ、オープンな形で設えました。もともとこの部分は広い土間であったと思われます。天井板を外してみますとやはり黒々とした立派な梁が隠れていました。天井を高く張り直し、豊かな拡がりの中、現しとなった太い梁は本来の居場所を取り戻して自信に満ちた表情です。この梁は玄関へもつながり、来客を出迎えています。
母屋にL字状に増築されていました寝室部分は、古色の母屋とは対照的に生地を生かした明るい造りとして大きく改修を施しました。この個室群と、母屋と蔵とでコの字型に囲われた中庭は床をウッドデッキとし、青空が天井の外部の部屋の趣です。
なお、この住まいは合板類も用いず断熱材に至るまで、極力天然素材で施工されました。
建築概要
敷地面積 | : | 1080㎡ |
延床面積 | : | 168.27㎡ |
規模構造 | : | 木造 平屋建 一部二階建 |
設計期間 | : | 2005年02月~2006年09月 |
工事期間 | : | 2006年09月~2007年04月 |
設計監理 | : | 木村哲矢建築計画事務所 |
施 工 | : | 株式会社 田中建設 |
プロデュース | : | アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(株) |